お互いの思いが分かりお付き合いすると決まるや否や、今までの距離感からグッと近付いてきて優しさと甘さを増した悠斗さん。
慣れない私はその甘さにもうクラックラで……。

恋愛初心者、経験値ゼロな私は終始たじたじになるしか無かった。
そんな私を見て、悠斗さんはとても嬉しそうにしている。

展望台から下りて、現在は和食のお店で夕飯を食べている。

「悠斗さん、これ美味しいですよ!悠斗さんも食べてみて下さい!」

あまりに美味しいご飯に、私のテンションも上がる。

食べながら味付けの材料は何かを思い浮かべて作る算段をしてしまうのは、主婦業のなせる技かもしれない。

「この角煮すっごく美味しいです。柔らかいし。志乃と由乃の好物だから、こんな感じで作れたら喜びそう」

そう呟くと、悠斗さんが思い出したように言う。

「家では梨乃が料理してるんだったね。麻里花が泊まりに行った時、梨乃が作ったご飯が美味しくて梨乃を嫁に欲しい!ってしきりに言ってたけど」

その様子を思い出してか、クスリと笑う悠斗さん。

「うちは両親共働きで仕事で家を空けることが多いから、自然と家事をするようになって。双子もいて大変だったから。手伝ってるうちに自然と身についちゃいました」


そう笑って言うと、柔らかい顔で微笑んで優しい言葉に続いたのはちょっと嬉しくなるおねだり。

「なかなか出来ることじゃないし偉いと思うよ。近いうちに梨乃の手料理も食べたいな」


微笑んで言われると私も嬉しくなって、笑顔で答えた。

「リクエストは受け付けますから、何が食べたいか考えて下さいね!」

そう返事をした。

まさかそれが早々と実現するとは思わずに。