『新沢咲良』
その名前に飛び上がりそうになった。
何を言おう、あたしのお母さんだ。
お母さんは化粧品のイメージキャラクターまで務めていたなんて知らなかった。
そして、パンフレットに載るお母さんは、やっぱり綺麗だった。
お母さんは素敵女性なのに、あたしはのび華。
そんなことを考えて、思わず首を振る。
そして『イメージキャラクターは、新沢咲良で継続希望』ノートに走り書きをする。
平静を装うが、あたしの手は震えていた。
そして、同じマンションに住んでいた淳太君も、もちろんあたしのお母さんのことを知っているが……特に何も言ってこなかった。
きっと、あたしのプライベートのことなんて興味がないのだろう。
分かっているが、少し寂しかった。



