「知らねぇの?
俺は六歳までカナダにいたんだけど」
「じゃあ、帰国早々あたしをいじめ始めたんだ」
「いじめた!?何だそれ」
淳太君は鼻で笑う。
まさかこいつ、自分のしていたことをいじめだと思っていないのか?
そして、今あたしにしていることも、嫌がらせだと思っていないのか?
もしそうだとすると、相当おかしい頭の持ち主だ。
はやく離れないと、素でもっとヤバイ嫌がらせをされるかもしれない。
「そんなことはどうでもいい。
とっとと用事終わらせるぞ」
そう言うと淳太君は物怖じもせず、ずかずかとデパートの化粧カウンターへ入っていった。



