淳太君の歩くスピードは速い。
その長い足で颯爽と歩くものだから、チビのあたしは小走りで後を追いかけた。
わざとやっているんだろう。
あたしを苦しめて、彼は笑っているのだろう。
だけど今は心を無にすることに集中する。
公私混同はいけない。
あたしはただ、彼と仕事をするだけだ。
どんなに酷い仕打ちをされても、彼はただの先輩だ。
そんなあたしを振り返り、淳太君は「遅い、はやく歩け」なんて言うのかと思った。
実際、淳太君はあたしのせいで赤木さんに目をつけられ、自分の仕事を中断することになってしまったのだから。
淳太君は大嫌いだ。
だけど、赤木さんのことに関しては、しっかりお礼とお詫びを言わないといけないと思っていた。



