「行ってくるな」 空港の出発ロビーの前で、淳太君があたしに言う。 ピシッとスーツを着て、ビジネスバッグを腕に抱えて。 そんな淳太君に笑顔で告げる。 「行ってらっしゃい!」 もう泣かないと決めた。 泣くと淳太君の負担になるし…… 何より、淳太君の言葉を信じているから。 三年後、きっと淳太君はあたしを迎えに来てくれる。 その言葉に根拠も何もなかったが、あたしは淳太君を信じている。