サッカースタジアムは、アスール東京のイメージカラーである青色で埋め尽くされていた。

そして、多くの人が「10」、「TOZAKI 」と背中に書かれたユニフォームを着ていた。

柊君の人気ぶりが分かる。

昔はそんな光景にどうしようもなくドキドキしたが、今は冷静に見ることが出来る。

あたしの長年の恋は終わり、新たな恋が芽生えていることを実感した。

柊君に対する恋も不毛で辛い恋だった。

だけど、新たな恋も負けず劣らず辛い恋になるだろう。

晴哉さんに向かうはずの新たな恋を妨害して、自分の方向へひん曲げた淳太君に、怒りの鉄槌をお見舞いしたい。

そんなことを考えているうちに、サッカーの試合が始まった。