その言葉に答えられなかった。




柊君と言うのはわざとらしいかな?

ここは、MFの小沢樹あたりにしておくかな、なんて考えるあたしに晴哉さんは言う。





「僕は、戸崎柊が好きなんだ」





そうなんだ。

柊君、人気なんだね。





のんきなことを考えていたあたしの手を、晴哉さんはぎゅっと握った。

いきなり握られてびっくりして、手を振り払ってしまう。

あたし、なんてことをしたのだろう。

付き合っているなら、手を繋ぐくらい普通なのに。

淳太君にキスされても振り払えないのに、晴哉さんはこうも簡単に振り払えてしまうの?