そうなのだ。 学生時代はサッカー選手の柊君を見るために、ストーカーのようにスタジアムに通っていたこともあった。 柊君のことを考えると胸が痛くなったのだが、不思議なことに今日は全然響かない。 むしろ、いい思い出だなんて思えるほどだった。 「今日はアスール東京の試合があって、チケットも持っているんだ。 もし良かったら、観に行かない?」 あたしはその言葉に頷く。 「桃華ちゃんはどの選手が好きなの?」