淳太君はゆっくり唇を離し、あたしは真っ赤な顔で淳太君を見つめる。
睨んでやりたいのに、胸がきゅんきゅん音を立ててそれどころではなかった。
離された淳太君の顔は、いつも通り意地悪に歪んでいると思っていた。
だけど頰を染め、口元をぎゅっと結んであたしを見ている。
その顔から目が離せない。
「……そんな顔で見るな」
それはあたしの台詞。
今の淳太君は、素直で照れ屋で、そしてすごく愛しい。
……愛しい!?
何それ、ありえない!!
必死に自分の思考に抵抗する。
淳太君はあたしの大敵だ。
「お前、俺が好きなんだろ?」
甘い声で囁かれても、そんなこと絶対認めてやらないんだから!



