「お母さん……あたしは大丈夫だよ」 努めて元気に振る舞って、お母さんに告げる。 「あたしはそんな噂に負けないから! だから、お母さんはお母さんらしく頑張ってよ。 藤井咲良はあたしのお母さんだけど、新沢咲良はみんなのものでしょ?」 電話の向こうで、お母さんが息を飲む音がした。 そして、お母さんはありがとうと告げる。 「桃華はいつの間にか、こんなに強い子になっていたんだね」 その言葉がジーンと胸に染み込む。 「やっぱり、桃華は自慢の娘だよ」