「今井さん、超いい男じゃん!」
オフィスの階段を上りながら梨乃が言う。
そんな梨乃の言葉が信じられない。
確かに淳太君は、俗に言うイケメンだ。
そして、髪をセットしてスーツを着ている淳太君は、さらに九割り増しだ。
出来る男オーラ溢れるリア充イケメン淳太君。
何も知らない人から見れば、かなりのハイスペックだろう。
だけど、
「性格悪いよ?」
あたしは梨乃に言う。
「さっきもあたしのことのび華って呼んだし、あたしを下僕扱いするし」
「でも、桃華はそんな今井さんが好きなんだから!」
梨乃の言葉に頰を染めてしまった。
あたしが淳太君を好き?
……どう考えてもそれはあり得ない。
ただ、キスされて動揺しているんだ。
自問自答するあたしは、キスの事実に行き当たる。
そして、やっぱりそのキスを思い出して体温が上昇するのだった。



