あたしが晴哉さんを覚えている? 何それ。 もちろんあたしは、晴哉さんなんて知らない。 だけど、初めて晴哉さんに会った時、どこかで会ったような気がしていた。 「ちょっと、淳太……」 晴哉さんは困ったように淳太に言い、淳太は意地悪な笑みを浮かべる。 その反応を見て分かった。 晴哉さんもあたしのことを昔から知っているということに。 「まさかのび華、忘れたはずねぇだろな?」 そのまさかだ。 あたしには、一体いつどこで晴哉さんに会ったのか、見当もつかない。