『津無漢』と『火車髑髏』の抗争はこうして終わりを告げました。どちらが勝ったということでもなく、縄張りがどちらのものになったということでもなく。最近は暴走行為すらあまりしていないようです。

 それでは今、彼らは何をしているのかと言うと――

「ハヤトの兄貴!」

「今日も勉強に来ました!」

「おう、いらっしゃい。坊主ども」

 ひっそりと建つラーメン屋台に、若者たちが詰めかけていました。そうです、全員が人間に化けた猫又さんと火車さんです。

「しょうゆをお願いします!」

「俺も同じのを!」

「あいよ、待ってな」

 猫又さんたちと火車さんたちは、一緒になって『猫好きのハヤト』のところへ通い詰めるようになったのです。そこで話していくうちに、なんとリーダー同士が打ち解けてしまったのだとか。抗争は収まり、ラーメン屋さんも繁盛するようになった。一件落着、大団円とはこのことですね。

 猫さんたちが去っていった後、二つの人影が連れだってラーメン屋台へと歩いていきました。そろそろ店を閉めようかと片付けしていた店主は、二人の姿を見ると顔をほころばせて、席をすすめました。

 注文後数分して、二人の前に美味しそうなラーメンが二つ並べられます。二人は割り箸を割ると、それに手をつけ始めました。

「おいしいねえ、桜子ちゃん」

「ふん、まあまあじゃな!」