「んーん。なんでもないよ。ごめんごめん」


ちょっと困ったようにこちらも苦笑で返すと、佑介はそれ以上何も言わずに読んでいた小説に視線を戻した。



あぁ、本当は。
色々と佑介に相談に乗ってもらいたい。
だけど、だけど…。
つい最近気付いてしまったんだ。
佑介も俺と同じ気持ちなんだって、こと。
それを知った時は、混乱したのと焦ったのとで、俺はかなり動揺してしまった。


『ほんと、なんで、こんなに好きなんだろ…』


佑介に気付かれないように、心の中でそう呟いて机に頬杖をつきながら苦笑する。
最初は、やっぱりほとんど「初めて出来た」女の子の親友という存在に興味を持っただけ…のつもり、だった。
わざと「はる、可愛いー!」とか彼女が赤くなってくれるのが、なんか嬉しくて騒いだりしてた。
だけど、実際に席替えで近くの距離にいることになったら、その凄い可愛さと滅茶苦茶純粋で真っ直ぐな所にすっかり惹かれてしまってた。
…いつも、心の中にいるようになったんだ。
それが、恋だって気付いたのはかなり遅くて、ごく最近だったけど…。
気付いた瞬間から、急速に落ちていって、手が付けられなくなってしまった。