普段の俺なら、絶対にしないだろう。 女も男も、関わるだけで面倒だ。 「……偶然見かけたから」 「今までだって、そんな経験いくらでもしただろ?どういう気持ちの変化?」 「その話はもういいだろ」 頼むから、それ以上は聞かないでほしい。 俺だってよくわかってないんだ。 「ちぇ、はいはい、わかりましたよ」 口を割らない俺に、謙は諦めて仕事を始めた。 なんで俺は、触れられそうになったアイツをかばったりしたんだろうか。