家には帰らず、その足で向かった場所。
扉の前で息を吐き、ゆっくりと押し開ける。
カランコロン
心地よい音、ふんわりと香る甘い紅茶の匂い。
「いらっしゃいませ」
カウンターにいた人物が僕を見て、動きを止めた。
「譲………」
「久しぶり」
何ともないように、カウンターの席に座る。
「どうしたの、連絡もなしに」
「連絡しないと来ちゃいけないの?」
「そうじゃないけど………」
若干の緊張と気まずさが入り混じる空気。
何を話そう、どう振る舞えばいいんだ。
何も考えずに、気づけばここに足が向かっていた。
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