こんなに暑いのに、すごい涼しい顔してる。
というか、浴衣だ………。


グレーの浴衣姿の佐々木くんを見つめる。


似合い過ぎてる、この世のものとは思えないくらいに………。


「ふわ子」


あたしに気づいた佐々木くんが、あたしの元に駆け寄ってくる。


途端にあたしに集まる周りの視線。


え、相手あの子?って声が聞こえてきそう。

う、す、すみません。
この人の待ち合わせ相手があたしなんかで。


「浴衣、着てきてくれたんだ」


そんな視線に気づくわけもなく、佐々木くんがにっこり微笑んだ。