ただしっかりと、僕と姉の間に境界線が引かれたことだけはわかった。
僕が引いたのか、姉が引いたのか。
正確なことは今となってはわからないけど。
アイデンティティを模索していた多感な時期に言われたそのひと言は、十分すぎるほど僕の心に届いてしまった。
男の僕が、洸太を好きになることはおかしなこと。
この気持ちは、僕だけは大切にしてしまっておかないと。誰にも気づかれない僕の気持ちが可哀想だ。
なのにあの子は、いとも簡単に、僕の気持ちを包み込んでくれた。
さすが、洸太が選んだ女の子だな。
出会ってからずっと、洸太は僕のヒーローだよ。
