何も言わないあたしにしびれを切らしたのか、男の子は資料を手に取った。 「えっと、あの、」 「ほら、どうしてほしいの?」 あ……。 『少しは自分の気持ち、相手に伝えたほうがいいよ』 さっき言われた言葉が、頭の中でリピートされる。 これって、つまり……。 「……い、一緒に運んで……くれませんか」 勇気を出してそう言うと、男の子は一瞬フッと笑って。 「よくできました」 あたしはその顔に、不覚にも見惚れてしまった。