「………朱里とは会っているのか」


「いえ、最近はまったく」


「………そうか」



続かない会話。
朱里とは何番目かの姉さんで、自分の一番近くにいるものだと勝手に勘違いしていた人。


僕のことなんか、誰も受け入れてくれないんだ。



「………ご馳走様でした」


言いつけ通りの軽めの食事はすぐに終わり、僕は逃げるようにリビングを後にする。


もっと普通の家に生まれていたら。
普通の両親の元で、普通の日本人として生まれていたら。


考えなかったことはない。
でも、この容姿もこの性格も、この家柄も。
全部全部、僕らしさ。僕のものだ。