「おはようございます」


「おはよう」


広々としたテーブルに、たった2人だけの家族。
僕より先に席に着いているお父さんが、新聞に目を落としたまま口を開いた。


そしてしんと静まり返った部屋は、使用人達が入り口に立っているだけ。


僕には、僕も認識できていないほど、きっと数えきれないほど家族がいる。


でもこの家には、僕とお父さんの2人だけ。


僕とは血の繋がらないお母さんが死んで、近くにいるお父さんの血縁者は僕だけ。


どうしてお父さんが僕を引き取ったのだろう。


いつもの朝、いつもの挨拶、いつもの食事。


このどれもが恵まれていて、息が詰まる。