「……なんて、何言ってんだろうね」 「長澤くん、あたし……」 「自分が持ってないものが羨ましくなるよね、わかるよ」 「え……?」 何を言えばいいかわからなくて下を向いていたあたしは、不意に弱々しくなった長澤くんの声に顔を上げた。 「……僕も、欲しかったのかな」 そう言った長澤くんの指が、あたしの頬に近づいた。 え……? 「譲」 触られる、とぎゅっと強く目をつぶったあたしの耳に届いた声。 目を開けなくてもわかるようになってしまった。この声は。