王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う

「たとえ、この世の全てから赦されなくても、この想いは決して揺らいだりしない」


 真っ直ぐにマリーを見つめるサファイアの瞳。

 それにしっかりと囚われるマリーの心は、彼の想いに共鳴する。


「わたくしも、同じです。ウィリアム様」


 今ここにあるだけの想いをエメラルドの眼差しに乗せ、彼に手向けた。
 

「どんな宿命があろうと……貴方様の幸せが、私の生きる糧です」


 ふたりだけで交わす視線。

 心と心が、確かに繋がれたような気がした。

 それを阻むのは、フレイザーの強引な手。

 ウィルを見つめるマリーの肩を抱き寄せ、周囲の浮き立つ視線を集めながらその場を離れた。




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