彼の頭をなでる右手は移動して、私の左手の上に重なった。


大きくて暖かい手。指が長くて爪の形がきれいな彼の手が好きだった。


「手、冷たいね」


 寝る前は暑くてしょうがなかったのに、ベッドに入ってから手だけがやたらに冷たい。


まだ緊張しているのだろうか。


彼は右手を私の左手に絡ませた。


じんわりと彼の右手の温度が私の左手に伝わってくる。


「なんでずっとそっちばっかり向いてるの?」


「寝顔見られるの恥ずかしいから」


「暗いからわからないよ」


彼は笑った。