誰も知らない彼女

若葉が落ち着いてくれたことに胸を撫でおろす。


この体育館にいる全員も、安堵の表情を浮かべている。


ネネもえるもいっちゃんも顔色が少しだけ明るくなった。


「なんだったの、あれ……」


「びっくりした……。落ち着いてくれてよかったけど……朝丘さん、相当やばいでしょ」


「由良と秋帆は大丈夫なのかな……」


やはり3人も、由良と秋帆が心の底から抱いている気持ちとまったく同じ気持ちを抱いていたらしい。


それでも、館内が静かになったので、一応言葉の内容は聞かなかったことにしよう。


なんて思ったと同時に、若葉が先生に連れていかれる姿が目に飛び込んできた。


「朝丘さん、行きましょう」


「……ゔっ、は、はい……」


まだ調子が悪そうだけど、保健室に行けるくらいの体力はあるらしく、ゆっくりと立ち上がって体育館の外に向かって歩いていく。


私はその様子をどのように見ればいいのかわからなくて、そっと目をそらした。


若葉が体育館から出ていった直後、やっとで由良と秋帆が戻ってきた。


「マジで暴れるとは思ってなかった……」


「まさか私と由良の姿を見ただけであんなに暴れ狂うなんて、想像もしてなかったよ」


ふたりの顔色も少しよくなってはいるものの、まだ吐きそうな感じだ。