誰も知らない彼女

「そ、そんなことやっといて、ほんとは注目されたいだけなんでしょ」


ネネとえるといっちゃんは若葉たち3人を見ながらそう言うが、3人とも声が若干うわずっているうえに震えている。


私も今の彼女は冗談だと思いたい。


私の幻覚であってほしい。


心の中で力強く祈るが、私の予想を大きく裏切るように若葉はさらに暴れた。


「やめろーっ‼︎ やめろやめろやめろーっ‼︎ ゔぅ、もうやだやだやだ! もう二度と八戸さんと高島さんの顔なんて見たくないぃぃぃ‼︎」


頭を両手で抱えながら絶叫する若葉。


この距離からではよく見えないけど、彼女の必死さがひしひしと伝わってくる。


若葉のセリフに自分たちの名前が出たせいか、由良と秋帆がわずかに肩を動かした。


「……朝丘。今、私と秋帆の名前が出てきたけど、なんか意味あんの? 意味があればわかりやすく説明してもらえるかなぁ?」


由良が私に背を向けているので、由良が今どんな表情をしているかわからないけど、たぶん内心怒っていると思う。


そして、秋帆も。


「私と由良の顔なんてもう二度と見たくない、だっけ? なんで私たちの名前を出すかなぁ? 教えてよ、学年一賢い朝丘さん」


言葉を聞いただけでは由良と秋帆の心情はわからないと思うけど、若葉にきつく当たるときのふたりの気持ちは、だいたいイメージできる。