誰も知らない彼女

ここでふたりの行動を止めるべきなのか。


由良にパスされたバレーボールを両手に持ちながら顔を強張らせる。


ふたりを止めたいのに、体が拒否しているのかまったく動こうとしない。


私が動けないでいると、由良と秋帆が不敵な笑みを浮かべながら若葉のもとに歩を進めた。


しかし数歩歩いたところで秋帆がピタリと止まってこちらに顔を向けた。


「ごめん。みんな、パスの練習続けてくれないかな? あっ、ネネは抹里とペア組んで練習してて〜」


「うん、了解!」


ネネが笑顔でオッケーサインを送ったのを見て、満足そうな顔をする秋帆。


そして由良と一緒に若葉のいるほうに駆けだしていった。


大丈夫だよね?


由良と秋帆は若葉に悪質な嫌がらせなんてしないよね?


心の中で余計な心配をする自分がいることに内心驚く。


「抹里ちゃん、一緒にパスの練習しよっ!」


「うっ、うん!」


ネネに声をかけられて、慌てて由良と秋帆から視線をそらす。


持っていたボールをネネにパスして、パスがスムーズに続いていくことに安心する。


案外ネネとも気が合うんだね、私。