「今の言葉聞いて思い出した! そういえば抹里、土曜日に朝丘と合コンに行ったんだっけ!」


ペンケースからシャーペンを取りだして、くるくるまわす由良。


隣の席の子に言われるまで、そのことをすっかり忘れていたのか。


由良がそのことを覚えていても覚えてなくてもべつにいい。


参加したのは若葉と私だから。


合コンが終わったあと、男子グループ3人と連絡先を交換したんだっけ。


だけど、合コンの日のことはあまり覚えていない。


野々村さんと畠さんと磐波さんと連絡先を交換して、若葉とも交換したのははっきりと覚えている。


「それでどうだった? 抹里の好みの男子は見つかったの?」


こちらに身を乗りだして興奮する由良に、思わずびっくりする。


隣の子も英語表現の教科書を片手に持って嬉しそうな顔を見せる。


「本当に合コン行ったんだ? 参加した男子はカッコよかったんだろうね」


由良とその子が妙に嬉しそうな表情を浮かべる。


由良を合コンに誘えばよかったかな。


若葉の誘いなら由良は断る可能性が高いけど、私から誘ったらうまくいったかもしれない。


なんて思いながら、わけもなくスカートのポケットからスマホを取りだす。