誰も知らない彼女

ムクッと上体を起こしながら心の中でつぶやき、窓のほうを見てみる。


窓から見えるのは、ここと同じくらいの高さにあるビルばかり。


ここから飛び降りたら、間違いなく誰かが見つけてまたここに運ばれるだろう。


今度はちゃんと死にたい。


じっと窓を見つめて黙り込む私をスルーして、お母さんが私に話しかける。


「抹里。あなたがいなくなって、お母さんはもちろん、学校の先生や生徒さんも動揺したのよ。あなたが海に沈んでいるのを見つけたのは、近くで働く漁師さんでね。抹里を見つけられなかったら、たぶんあなたは海の中で死んでたと思うわ。だから、病院に運ばれて目を覚まして……本当よかったわ」


動揺した……?


お母さんだけじゃなく、学校の先生や生徒が?


自分から突き放したネネも、クラスメイトのみんなも、その他の人たちもってこと?


あぁ、私が行方不明になったって聞くだけで動揺するものなんだ。


ただそう思うことしかできなかった。


そんなことよりも、早く死にたい。


ネネとえる以外のグループメンバーがいるあの世に行きたい。


私を最後まで助けてくれた磐波さんと、心を開けると言ってくれた悠くんのもとに行きたい。


でも、こうして病院で入院して過ごす限り、私の命がこの世からなくなることはない。


だったら……。