誰も知らない彼女


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歩道橋で幹恵が階段から落ちて死んでから、もう数日が過ぎた。


幹恵が死んだと知った日の翌朝にテレビをつけると、ニュースでその出来事が大きく取りあげられていた。


新聞にもトップに掲載されていたし、その事件が世間に大きく影響したことは間違いない。


ただ、幹恵が起こした連続殺人事件は、犯人である幹恵が死んでしまったことで不起訴処分となると知らされた。


もうすぐクリスマスだというときに気分が落ち込むことを知らせてほしくなかったが、事実をすでに知らされた以上文句は言えない。


この日も学校があったのだが、担任の先生に『事件は解決したが、八戸と高島を失ったつらい気持ちに耐えられないならゆっくり休んでなさい』と言われて休むことにした。


たしかにあの連続殺人事件で由良と秋帆を失った悲しみは大きく、ぽっかりと心に大きな穴が開いているような感覚がする。


友達ふたりを殺人事件で失っただけでなく、あの事件でいっちゃんは自殺したし、えるは死に損ねて寝たきり状態。


心の空隙を埋められる相手は私にはいるのか。


ぼんやりと自室でそんなことを考えていると、下からインターホンが鳴る音が聞こえてきた。


今日もお母さんは仕事で家にいないし、家に来る人物はだいぶ限られている。


モニターの電源を入れて誰がいるのか確認する。