誰も知らない彼女

頭の中でたどり着いた答えを言いたかったことを、若葉はわかっていた。


そして、それは正解だった。


嘘……。


まさか、若葉が連続殺人事件の真犯人だなんて。


でも、あっさりと自分の口から言ったのはちょっと意外だった。


自分は犯人じゃないと言い張るかと思ったのに。


世の中、いろんな人がいるな。


……じゃなくて。


連続殺人事件の真犯人が若葉ということは、被害者全員を殺したのは若葉となる。


なら、私も若葉に殺される……?


異性とのコミュニケーション力を向上させるきっかけを作った若葉に殺されてしまうの?


嫌だ。若葉に殺されたくない。


そう思ったときには足がガクガクと震え、若葉がニヤッと口角を上げたと同時にくるっと体の向きを変えて逃げた。


地面が雪に覆われているため少し走りづらいが、逃げだしたい衝動に駆られた私にそんなことを気にする余裕などなかった。


走りはじめて気づいた。


今、大通りにいるのはなぜか私と若葉だけ。


私たち以外の人は誰もいなくて、車が一台も道路を走っていない。


なんで? なんで誰もいないの?


息を切らしながらチラッとうしろのほうを見てみると、数百メートル先に若葉の私を追いかける姿が見えてゾクッとした。


捕まりたくない。