誰も知らない彼女

なんでそんな不気味な笑顔を私に見せるの?


額や背中に冷や汗が這うように流れていくのを感じる。


若葉の表情が怖いせいか、持っていたスマホを落としそうになる。


ゆっくりとスマホを耳から離し、若葉の手もとに視線を移す。


手には当たり前のようにスマホ。


しかしおかしいのは、そのスマホからバイブ音が聞こえてくるということだ。


もしかして……このメッセージを送ったのは若葉?


若葉……。


「なんで……?」


声が震えていることに気づかないフリをして、いまだに不敵な笑みを浮かべる若葉に尋ねる。


だけど若葉はなにも言わずにじっと私を見つめるだけ。


言葉を返してくれないのは想定内だ。


それでも問いかけなければ、問題は解決しない。


スマホの電源を落としてポケットの中にしまい、若葉がこちらに体を向けるのを待つ。


そして若葉が「なぁに?」といやらしい笑顔で尋ねたタイミングで質問をぶつけた。


「7時にここに来いっていうメッセージを送ったの……朝丘さん?」


「うん、そうだよ」


「なんでそんなことを……?」


「なんで? そんなの決まってる。あなたも八戸さんたちと同じ目に遭えばいいと思ったから」


同じ目に遭えばいい?


えっ、それってつまり……。