誰も知らない彼女

だけど一度出てきた言葉は、口にすると止められなくなる。


「ネネちゃんが由良が姿を消したっていう話で悲しくなったのは、由良が嫌がらせのターゲットになっても心のどこかで仲間意識があったからだと思う」


「抹里ちゃん……」


ほぼ放心状態で私を見つめるネネ。


ただ、それは本当に放心状態なのではなく、心の中に別の感情が隠れていることを意味しているように見えた。


わかってくれるんだ。


クラスメイトには言えないこの気持ちを、あなたは理解してくれるって言うの?


ネネのうるんだ瞳から、涙の代わりにそんな気持ちがこぼれ落ちていた。


めんどくさい性格で嫌がらせを受けるクラスメイトを心配したり拒絶したりする私を、ネネが本当の意味で仲間だと思わなければ、こんなにうるうるとした瞳を見せることはないだろう。


私がネネの立場だったら、それでも仲間意識を抱くことはなかったと思う。


こんな自分が世の中で一番大嫌いなのだから。


自分自身が嫌いだと思わせないようにして、ネネを真っすぐに見つめる。


「ネネちゃん。えるが高い建物から飛び降りて病院で寝たきりになったのも、由良が帰ってこないのも、決してネネちゃんのせいじゃないよ。だから安心して。私のことも気にしないで、今は自分のことを大事にして」


今はこんなことしか言えない。