誰も知らない彼女

身につけた服以外の服をもとにあった場所に慌てて戻し、鏡で髪を整えてネネのもとに向かう。


玄関のドアをゆっくり開けて顔を覗かせたとき、ネネのほっとしたような表情が見えた。


「ほっ、よかった。抹里ちゃん、元気そうだ」


「……ネネちゃん、今日は学校だったんじゃないの?」


ネネの服装は学校指定の制服。


学校に行ったこと以外は考えられない。


思ったことをぶつけると、ネネは眉をハの字にしてこう言った。


「あったよ。でも抹里ちゃんが風邪ひいて学校休んでるって先生から聞いたら心配になって……。もしかしたら私が見ない間に抹里ちゃんも連続殺人事件に巻き込まれるんじゃないかと思って、急いで抹里ちゃんの家まで来たんだ」


そんなに私のことが心配だったの?


風邪をひいたというだけで駆けつけてくれるなんて、ネネはなんて優しいんだろう。


仲のいい子が体調不良で休んでいると知ったら、普通は学校が終わったあとにお見舞いに行くはず。


なのに、ネネは授業を抜けだして私のところまで来てくれた。


同じグループのメンバーに親切にされると、心があったかくなる。


ネネの優しさに涙が出そうになる。


「ネネちゃん、ありがとう……」


そう言ったあとにうつむいたものだから、余計に涙と鼻水が出てきそうだ。


私の姿を見て、ネネが恥ずかしくなったのか慌てた声を出す。