秋帆は、由良の中学時代のあだ名を毎回口にして私に近づくことを阻止した。


そして、その秋帆も連続殺人事件で彼氏が被害者となったことを知り、わずか数日で自分も行方不明になってしまった。


それだけでなく、えるの彼氏もほぼ同じ時期に死んだという知らせでえるもおかしくなった。


こんな短期間で何人も犠牲になっている。


自室に向かって階段を上っている途中であることに気づいてピタッと足を止めた。


ここ最近起こった連続殺人事件の被害者は全員、この街に住んでいることに気づいたのだ。


犯人は、それを知りながら犯行におよんでいたというの?


もし犯人にそんな狙いがなかったとしても、人の命を無残な形で奪った重い罪をおかしたことに変わりはない。


止めていた足を再び進めて階段を上りきり、自室のドアをゆっくり閉める。


普通、風邪をひいたならベッドでおとなしくしておかなければならないが、そんなに眠くないためか、ベッドではなく奥のほうに置いてある勉強机の近くまで歩み寄る。


勉強机が目の前に映る前に無意識にドレッサーのほうをチラッと見たが、前に感じた人影はない。


なんで?


インターホンの音と不気味な声に神経が過敏になっていたせいだろうか。