信じたくはないけど、もし本当に学校の中に犯人がいるなら、私だって殺される可能性がおおいにありうる。


本当に……。


「そ、それで、その犯人はいったい誰?」


私の表情をまじまじと見つめる甲斐先生の声が若干震えていた。


驚きに包まれた表情には出ていないけど、心の中に焦りがあるのではないかと自分でもびっくりするくらい冷静に考えていた。


やっぱり、最近の私はおかしいのかもしれない。


ふぅ、と息を吐きだして自分を落ち着かせ、一度顔を伏せてからまた視線をあげた。


「……由良です。私と同じクラスの八戸由良です」


ついに言ってしまった。


いや、この場合、ついに言うことができたと言うほうが正しいと思う。


いじめられるようになってからの姿が変なのは一目瞭然だったが、それ以前にも由良を怖いと思ったことは何度かある。


私のスマホに入っていた番号がすでに使われてなかったという理由で若葉への嫌がらせの主犯格になり、若葉が私に近づくようなことがあれば迷うことなく若葉を傷つけた。


若葉が体育館で暴走した日、秋帆と一緒に若葉をこらしめようと画策していた。


前に、学校や家、合コンの行き帰りで憎しみの視線を感じたことがある。


学校だけでなく、合コンに行った帰りにもじっと見ている視線が突き刺さった。