誰も知らない彼女


☆☆☆

秋帆が行方不明になったと知って数日がたった。


クラス内では相変わらず由良がクラスの子を足蹴にしていた。


数日前に見た由良の目は死んだ魚のような感じだったが、今では本気で人を殺したいという気持ちがあふれた感じだ。


自分の立場が上であれば、他はどうだっていい。


誰かにいじめられさえしなければ、自分はこのクラスのトップになれる。


言葉にはしていないが、様子を見ればどう思っているのかわかる。


そんな様子の由良を遠くから眺めている私はというと。


「どうしたの、抹里ちゃん」


「……え?」


「顔色悪いよ? 最近抹里ちゃんの様子を見てみたんだけど、もしかして体調が悪いの?」


近くにやってきたネネに心配そうに尋ねられるほど、今まで心に抱いていた自分の複雑な気持ちを失っていた。


親友を心配する気持ち、このクラスをもとに戻そうとする気持ち、磐波さんに恋していた気持ち。


他にもいろいろな気持ちがあるかもしれないけど、それらも全部私の体からすでに抜けていた。


どうしてなのかという気持ちはない。


ただぽっかりと空いた深い穴にスーッと風が心地よいくらいに吹くだけ。


「そ、そうかな? 私はそんなに変わらないと思うけど……」


そう言ってから頬に手を当ててみる。