誰も知らない彼女

何回か操作したあと、モニターにひとつの影が映しだされた。


夜の闇のせいではっきりとは見えないが、誰かが舐めまわすように眺めている姿だけは見える。


真っ黒な人影。


凶器とも思えるギラリと光る鋭い眼光。


まるでこの世の者ではない感じだ。


その人影を視界が認めた瞬間、私は両手で頭を抱えた。


あぁ、ついに私のところにも来た。


連続殺人を起こした凶悪な殺人鬼が、私の家の前にいる。


今ここで相手をしたら、野々村さんたちのように殺される!


私はどんなふうに殺されるのだろうか。


野々村さんのように血まみれになるのか、畠さんと広隆さんのように首を絞められるのか。


それとも別の死に方?


まだ殺されると決まったわけではないのに、頭の中で想像するだけで呼吸が荒くなる。


混乱する私をよそに、インターホンが何度も鳴る。


普通じゃない。


誰も出歩かないような夜に人の家のインターホンを鳴らすのはどう考えてもおかしい。


何回も鳴らすということは、私の知っている人ではないと思う。


まさか、本当に嫌がらせ?


私のことを知っている誰かが、私をおとしめるために家の前にいるの?


頭を抱えていた手に壁につけて、もう一度モニターに視線を向ける。


だが、モニターに映っている様子を見て、私は思わず悲鳴をあげてしまった。