誰も知らない彼女

ダメな人間。


しかもただのダメな人間ではなく、社会の底辺にいるクズ人間なんだ。


自分をここまで愚弄したことはないけど、こんなに気分がいいのはどうしてだろう。


グッと拳に力を入れて押し黙る私に、ネネがさみしそうな笑顔を見せた。


「結局、私たちのグループ壊れちゃったね」


「……え?」


グループが壊れた。


その言葉の意味はなんとなくわかるが、それをネネの口から聞きたくなかった。


でも、私は無意識に聞いていた。


「壊れちゃった……?」


「だって、由良はおかしくなったし、いっちゃんは彼氏が死んだショックで自殺、秋帆は行方不明。それにえるも彼氏が死んだって騒いでるし」


ネネの言うとおりだ。


ネネの言っていることがすべて本当のことだから、余計に心が痛くなる。


「……グループでポジションが変わってないのは私と抹里ちゃんだけだね」


ネネもそう思っていたんだ。


はかなげな笑みを浮かべるネネの姿があまりにもつらくて、まったく笑えない。


はげましたくてもはげますことは、今の私にはできない。


心の中の自分にも、ネネにも。


だから私は、ネネにこう言うしかない。


「うん。そうだね……」


苦しい。


今まで私たちが仲よくやってきたせいか、他のメンバーから与えられた衝撃は計り知れない。


恋だと気づかされたとき以来の……いや、それ以上の苦しみが容赦なく襲う。


それに気づかないフリをして、私は鉛のように重たい足を引きずってネネと歩いて帰った。