誰も知らない彼女

若葉が体育館で暴れたときの私の行動は狂っていたじゃない。


何度も自分が狂ってると思っていたじゃない。


なのに自分が狂ってないなんて言いきれるの?


心の中にいるもうひとりの自分に嘘をつく自分が嫌になる。


自分の立場を守りたいがために、自分の心に嘘をついて相手を騙すなんて、私はバカだよ。


助けたい気持ちを持っていたときは若葉に手を差しのべたくてもクラスメイトに止められた。


やっぱり、体育の授業で若葉の暴れた姿を見て以来、私の頭は誰かと入れかわったみたいにおかしくなったんだ。


気づいてほしかった。


私の言動を狂っているって、なんでクラスメイトは気づかなかったの?


もちろん私自身もそうだ。


自分のことは自分自身が一番よくわかっているはずなのに。


心の中にいるもうひとりの自分にぶつぶつと言葉の攻撃をする私を完璧にスルーして、ネネが目を見開いて驚いた顔をする。


「えっ、抹里ちゃんは完璧な乙女だよ? 誰かをおとしめようとか考えてないし、モテるじゃん」


モテる? 私が?


そんなの嘘に決まってる。


彼女の言葉を信じないわけではないけど、こんなに愚かな自分が異性から注目を集めることは絶対にないと思っている。


誰かをおとしめることは考えてないにしても、めんどくさい性格を持っていたらもう私はダメな人間なんだ。