誰も知らない彼女

「えっ、じゃあ今えるが来てないのは……」


「そう。付き合ってた彼氏が死んだことが信じられなくて彼氏の家に行ったんだって」


また事件が起こった。


犯人の目星をつける前にまた事件が起こってしまうなんて。


「もしかしてそのことも……」


「……うん。信じたくはないけど、連続殺人事件なのかもしれないね」


そんな……。


あまりのショックでなにも言えなくなる。


連続殺人事件、か。


もしネネの言うとおり、えるの彼氏があの連続殺人の犯人によって死んだのなら、事件の4人目の犠牲者ということになる。


場の空気が重苦しくなった直後、見まわりに来たらしい担任の先生がやってきた。


「お前たち、家に帰らずこんなところでなにやってるんだ?」


自分の視界に私とネネの姿を映したあと、先生は眉をハの字にして私を見つめた。


「榎本、体調はよくなったか?」


そのことか。


てっきり私がなにか悪いことでもしたのかと思ったからヒヤヒヤしていた。


まだ心配してくれたんだ。


心の中で先生に感謝しながら、一生懸命の笑顔を作って言葉を返す。


「はい、もうすっかり。ベッドで寝たら体調がよくなったみたいです」


「そうか、ならよかった。事件に巻き込まれる前に早く帰ったほうがいいぞ」


それだけ言うと、先生は逃げるように教室をあとにした。