クラスでの騒ぎはあっという間に全クラスに広まり、由良は職員室でこっぴどく叱られた。


騒ぎが広まってすぐにネネとえるが教室に戻ってきたので、私が再びケガをすることはなかった。


いっぽうの磐波さんは、騒ぎが大きくなったと悟ったのか、いつの間にか学校から姿を消していた。


うちのクラスは秋帆が行方不明になったということもあり、3限が終わってすぐに一斉下校となった。


もちろん由良を除いたクラス全員だ。


普段とは違った重い空気から逃げるように教室を出るクラスメイトを眺めながら、私はネネの席に近寄った。


「ねぇ、ネネちゃん」


「ん? なに?」


「教室に来るまでなにしてたの? だいぶ時間がかかってたみたいだけど……」


聞いてしまったという後悔は生まれない。


ただ単に気になったことをぶつけただけで、後悔など生まれるはずがない。


自分の心境の変化に少し驚きつつも、表情は必死にキープする。


私の問いにネネは少し言いづらそうな顔で視線をそらした。


「いや……。じつは1限はじまるときに先生に呼ばれたんだ。私がクラスの中で一番秋帆と仲がよかったから、先生になにか変なことはなかったかって言われて……」


なるほど。


だから私が1限が終わったときに教室に入っても、ネネの姿がなかったんだ。