誰も知らない彼女

「じつはな、飯場が自室で手首を切って自殺したらしいんだ。それに昨日から高島が行方不明になっている」


先生の言葉が耳に入った瞬間、頭の中が真っ白になった。


時間が止まったような感覚だ。


今、先生はなんて言ったの?


誰が自殺して、誰が行方不明になってるって……。


予想外の言葉に開いた口がふさがらなくなる。


そんな私を見て、先生が言葉を続ける。


「飯場はな、部屋の机に遺書を残していたそうなんだ。まぁ、連続して起こった殺人事件に巻き込まれなくてよかったけど、うちの学校で謎の死をとげたのはこれがはじめてらしいな」


あさってのほうを見て悲しそうな目で話す先生の言葉で、いったんは手放していた意識をようやく取り戻した。


だがその直後、鈍器で殴られた感覚におちいる。


“いっちゃんが自殺した”。


“秋帆が昨日から行方不明になった”。


信じたくない言葉のナイフが容赦なく私の精神にダメージを与える。


こんなに最悪なシナリオは考えたくない。


私と一緒のグループにいたメンバーふたりがあんなことになるなんて。


しかも、そのふたりがよりによって秋帆といっちゃんだなんて。


ダメだ。


今こんなことを考えていたら頭の中が爆発して、大変なことになってしまう。


壁に背中をぶつけて、首を左右に振りながら頭を両手で抱える。