ぶるっと身震いがして両腕をさする。


おかしい。


防寒のためにコートもマフラーも手袋もして登校したはずなのに。


それに窓も完全に閉まってるから、そこから冷たい風が吹いてくるわけがない。


鳥肌が立つ感覚を覚え、なかなかコートを脱げずにいる私に、ネネが私の肩にポンと手を置いた。


「抹里ちゃん、大丈夫? もしかして換気のためにつけてるエアコンの風が当たってくるから寒いの?」


エアコン?


この季節にエアコンなんてつけるわけがない。


でも換気するためなら、冬でもエアコンをつけてもいいという決まりがある。


寒気がエアコンの冷たい風のせいで起こったなら、私は笑い飛ばしていたはず。


だけど今の鳥肌の立ち具合からして、絶対にエアコンのせいじゃない。


じゃあ、いったいなんなの……?


おそるおそる首に巻いていたマフラーをはずしてコートを脱ぐが、どうもエアコンのせいではないようだ。


ふたつを取っても同じ冷たさの風が肌と髪を撫でている感覚に襲われる。


「もしそれだったらごめんね。抹里ちゃん、うしろの席だから風が当たるかもしれないけど、換気のためだから我慢してね」


「……うん、我慢する」


しかし、ネネに心配をかけるのは嫌なので、眉をハの字にしたネネの言葉にうなずく。


これ以上心配かけたら、取り返しのつかないことになってしまう。


そう感じたんだ。