そう言うとせっせと書類の山をかき分け始める莉香。
考えもしなかった事にびっくりする。
確かにこの書類は目を通してないけど
都合よく家族について書かれた書類なんてあるんだろうか?
いや…そもそも神咲魔莉乃が
家族だなんて保証はないけど…
それでも、確かに莉香の言う通り
ヒントがある可能性はある。
なら少しでも可能性があるなら
探すべきだろう。
「…ん?」
莉香に習って柚姫と一緒に書類に目を通していくと、ある1枚の紙に釘付けになった。
正方形のメモのようなその紙は
しわしわで歴史を感じさせる。
折りたたまれた小さな紙をそっと
広げる。
そこに書かれていた文字に、
思わず紙を手から離してしまった。
「ふ、ふたりとも…こ、これっ」
驚きのあまり詰まりながら2人に紙を見せる。
書かれていたのは…
『神咲 沙綾 旧姓 神咲 魔莉乃』
というボールペンで書かれたのか、整った
黒い文字だった。
神咲沙綾。これは間違いなく私のお母さんの名前だった。
その横に旧姓として私達が探していた
人物の名前があった。
