「はは、2人とも亡くなってるの」


もうずっと前の事だし
親の顔もあまり覚えていないから
そんなに気に病むことはないのだけれど…


柚姫は気まずそうに俯いてしまって。


「…柚姫、気にしないでね?」


そんな様子を見て思わず
そう声をかけて、柚姫を宥めた。


そのせいか重い雰囲気がリビングに漂ってきた。


「あの…近くに行ってみてもいいかな…?」


柚姫が発した言葉に
軽く了承すると


柚姫はソファーから
立ち上がり奥にある仏壇へ向かい


仏壇に敷いてある座布団に腰掛けると
瞼を薄く閉じ、手を合わせた。


その様子を眺めていると
今度は莉香から声がかかった。


「その…なんか辛い事があったら言っていいのよ?…親友、だし」


もじもじと近くのクッションを抱きしめながら言う莉香に温かい笑みが零れた。


親友、その言葉が嬉しくて。


「うん…ありがとう」


その一言にたくさんの感謝を詰め込んで
莉香へ送った。


やっぱり親友っていいな…


小学校からの付き合いだけど、莉香は優しくて私の事をよくわかってくれてる。


本当に私の大好きな親友だ。