気になって聞いてみると、柚姫と莉香から返ってきたのは信じられない言葉だった。


『…え?風…?…そんなの、吹いてなかったけど…』


ぞくり、とした。


呪いはターゲット以外には影響を
及ぼさないらしい…。


風で目眩しをしてくるなんて
柚姫の助けがなかったら看板は
私の頭に直撃していたかもしれない。


柚姫と莉香に私の感じた風について話し、
柚姫に助けてもらったお礼を告げると


私達はまた家へと歩き始めた。


…そんなこんなで、今に至る。


私はリビングのソファーに腰掛けると、


「…そんなことないってば。ほら、好きに歩き回っていいから手がかり探すよ」


柚姫に笑いかける。すると今度は
莉香が声を上げた。


「あ…」


その口から漏れ出た小さな声に
私と柚姫は莉香の方へ首を向ける。


莉香の視線を追うと目に入ったのは


「あぁ……莉香は知ってるでしょ?」


朝祈りを捧げた、お母さんとお父さんの仏壇だった。


莉香は小学校の頃からの知り合いだし
何度もこの家に来てるわけだから


事情を知ってるはずだが。


「え…澪夜ちゃんの両親って…」