ところが永い時が過ぎた今、
不死身かと思われたあたしの命は
終着点を迎えている。



閉じ込められた時は8月。


今は多分2度目の夏。
つまり1年間も飲まず食わずでここにいる。



ああ、でも、きっともうすぐだ。

体の力が抜けていき、
どんどん自分の中から「生」
が消えていくのがわかる。



やっと死ねるのだ。
…出口を塞がれたトンネルの中で。



あたしは、不死身じゃなかった。



喜び、
そして同時に憎しみが湧き上がってきた。



魔莉乃村の村人。
なぜお前達はのうのうと生きているんだ?


魔女だと罵ってあたしをこんな風に閉じ込めて…あたしの人生を壊したのに。


どんな理由があろうと、
そんなこと許されるはずがない。


どろり、と枯れたと思っていた涙が
窪んだ瞳からとめどなく流れ落ちる。



『…ソレデイイ』



薄れゆく意識の中、
誰かの声がして、頭を撫でられるような
感覚があった。



夢か現かわからないその感覚は、
あたしのことを理解してくれているようだ。



そうだよね。怨むのは当然だ。
あたしは、
あたしをこんな目に合わせたヤツらを…


ゼッタイニユルサナイ


そして最期にあたしは怨念に身を委ね
18年の生を終えたーーーーー



1970/8/2 0:00

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