「おはよう…お母さん、お父さん。
今日も頑張るね。どうか、松林君に何もありませんように……」
そして
私は両親に向かって
今日の願いを囁いた。
2つ並んだ遺影。
左には愛らしく笑う女性…お母さん。
右にはたくましく拳を掲げている男性…
お父さんだ。
両親に挨拶をするのは
当たり前だけど私の毎日の日課である。
暫く目を閉ざし2人に
語りかける事数10秒。
ふう…、と息を吐くと、
のろのろと立ち上がり
1人でいるには広すぎるような
風通しの良いリビングを
縦断し、今度はキッチンへ向かった。
カパっと冷蔵庫の取っ手を引くと
特有の冷たい空気を肌で感じ、
朝ごはんになる物を探す。
「…あ、賞味期限ギリギリ……」
まず目に付いた
食パンの賞味期限は8/4だった。
気づいてよかった。
なにも付けず、そのまま1枚取り出すと
口にくわえ、
玄関へ。
いつものパンの小麦の味を堪能しながら
昨日、恐怖の中、なにか手を動かしたくて
明日の準備を済ましていたことを思い出す。
