女の子は無邪気にそう言った。
「あいつら」って…?


殺すなんて、だめ…!!


叫びたくても
ついに白いもやは私の声も封じた。


声が出なくて懇願もできない。


『あたしね…?30年も待ったの。
やっとだよ…ふふふっ。お前も可哀想に。あいつらに関わったからこんな目にあうのよ』


姿も見えない、様子もわからない。
ただ二種類の声が聞こえるだけ。


『…聞こえないの!?媛乃!それ以上はやめて…お願いよ!!悪霊になっちゃう…!』


懇願する女の人。


悪霊、とは幽霊の悪霊の事?


再び甲高い声が響く。


『これから始まるの。覚悟しててね?
…神咲魔莉乃』


…神咲魔莉乃??


私と同じ、苗字だ。


同じ苗字の人間を呼ぶ女の子に声をかけようとしたが


裏腹に視界がさらに濁り
どんどん意識が遠のいていった。


意識を失う直前、
さっき聞いた2つの声とはまた違う
女の人の声が聞こえた気がした。



『澪夜…お願いがあるの。私の代わりに……真実を見つけてほしい。魔莉乃村の真実を……トンネルの真実を……それで…媛乃に……ごめんねって……』


全てがぼんやりとしていて3人目の女の人の
声がよく聞き取れない。


なに……?


あなたは……


誰…??